MAGICA・キャラクターによるゲーム紹介
戦闘編@
2010.7.24



(いつも通りの小屋の中、簡素な机。だが、顔ぶれが変わっている。)


(ミルが中央、その隣に男女がひとりずつ。)


(目を合わせる3人。ミルが口を開く。)



「こんにちは!」

「こんにちは〜」

「うす」



「さてさて、第三回目になります、登場人物にによるゲーム紹介ですが。
 項目が進み、今回からは『戦闘編』ということになります。
 それに合わせて、メンバーを変更してお送りします」

「戦闘ってえと、ロールプレイングゲームの肝だからな。
 あの面子じゃあ、ちょっと、いやかなり頼りない、ってわけだ。
 いい判断だぜ」

「ちょっと、今から紹介するんだから…。
 その前に喋りださないでくださいよ」

「あははは」



「今回は戦闘に関わる解説ということで。
 警団員としては私より経験の長い、先輩を2人お呼びしました。
 こちらの先走りがちな人が…」

「名前は、『アースト』。
 先走りがちなのはミル、お前もだけどな。まあ、よろしく」

「一言多い人なんです」

「まあまあ。せっかくこのメンバーなんだから、楽しくやりましょ。
 …ミル、私の紹介もお願いできるかな?」

「っと…すみません。
 こちらが、『ナナ』さんです」

「ナナです。
 一応、それなりに経験は長いので…解説役をさせていただきます。
 よろしく、お願いしますね」

「はい、ありがとうございます。今回は楽ができそうだなぁ」

「なに言ってやがる。今回は後輩のお前に対しての、出題形式でやるからな」

「ええええ?」

「今回は基礎だから。
 これまで真面目にやっきてれば、簡単なものばかりよ」

「だが基礎だからな。ヌケた答えでも返そうもんなら、それなりの扱いはさせてもらう」

「ややっこしいことになってきたなぁ…。まあ…なんとでもなるかな」

「うんうん、気楽にね」



「それじゃ、準備がいいなら、始めるぜ」

「はいー」

「オッケーよ」





(暗転)





「まずはミル。俺たちの敵であり
 戦闘でもって撃退するべき相手の名前は何だ?」

「物の怪(もののけ)です」

「ん、まあそうだな。
 それだけが相手ってわけでもないが、大抵の任務で障害になるのは
 お前の言うとおり、物の怪だ」

「実際は、任務で行くことになる場所に
 物の怪が大量に住みついている…ってことが、多いですよね」

「そういう場所はやっぱり、悪企みをするには最適だからね〜」

「ついでに言えば『物の怪』ってもなぁ、明確にそういう種族が居るわけじゃないんだ。
 野生動物やら、意志の疎通が図れない種族やら、古い祟り神やら…」

「警団では、敵意を持って襲ってくる相手は、ひっくるめてそう呼んでるのよ」

「希少性は高っけえけど、どうみても女に見えない女とかもいるよな」





(しばしの、沈黙)


(ミルの顔から表情が消えている)





「………なるほど。豆知識ですね。さすが先輩」

「まあね!」

「………」

「意志の疎通が図れないものが含まれるなら
 厳密に言えばアーストさんも物の怪に含まれるんですね。
 割と、どうしようもないですし」

「そうそう。まったく、あいつときたら。
 …ってなんだこの野郎、喧嘩売ってやがんのか」

「野郎じゃねえって言ってんでしょうが!」



「(何かやるだろうとは、思ってたけどね…)」





(にらみ合うアーストとミル。椅子から、少し体が浮いている)





「はいはい、ふたりとも。仕切りなおし、仕切りなおし」

「ち」

「ち」





(アーストとミル、飛びのくように椅子に戻る)





「まー広い心で許してあげますよ。時間、もったいないからね!」

「言ってろ、この男前。椅子も、ガタガタ笑っちまうぜ」





(椅子の揺られる、がたがたという音が響く)


(アーストが机に足を掛け、椅子の足を揺らしている)





「仕切りなおし、仕切りなおし〜」



「笑っちまうのは、あんたのおゆるい頭ですよ。
 あんたの常識じゃ、椅子が笑うんですか。俺んところは、そーでもないんですがね」

「それはほら、あれだ。
 自分のことを『俺』とか言っちまう女がいるとこだぜ。
 他にも色々、あやぶまれるってもんだよなぁ、おい」

「本当に喧嘩売ってんですか。…さすがに怒りますよ」

「先に売ってきたのはお前だろうが」





(だーんという、派手な音が響く)

(ナナが机を両手を机に立てている)





「…いいかげんにしましょうか」



「……」

「……」

「だって、先に、アーストさんが…」

「いつものことなんだから、放っておけばいいわよね。
 アーストも、少しは場所ってものを考えて、控えたほうがいいんじゃないかしら」

「いや、別に俺は。
 そもそも、名指しでミルのこと言ったわけじゃねえし…」

「言い訳じゃないですか!
 なら、なんであそこであんな一言が飛び出すんですか」





(再び、だーんという派手な音)





「言いたいことがあるなら、それでもいいわよ。
 まとまらないようだから、タットを呼びましょうか」



「!!」

「!!」



「あの子なら、こんな状況でも、ちゃんと公平にまとめてくれるだろうしね」





(アーストとミル、表情が消えている)


(ついでに顔色も消えている)





「………」

「………」



「特に異論はないみたいね。それじゃあ、さっそく呼んでくるから」





(ナナ、出口に向かって歩き始める)


(残る二人、ナナの足にすがりつく)





「待ってえええ!!」

「やめてえええ!!」



「何よ、ちゃんと喋れるんじゃないの。
 ほら、何か言いたいことは?」



「………」

「………」





(さらに、だーんという派手な音)


(3回目は、机でなく床を踏み鳴らした音)


(足にすがりついていた二人、しりもちをついて、あとずさる)





「い・い・た・い・こ・と・は!?」



「すみませんでした…」

「すみませんでした…」



「…よろしい」





(暗転)





「さて…それじゃ、続けるぜ」

「お願いします…」

「任務の障害になるのは、主に物の怪だってことは、話したな。
 奴らは、待ち構えてるのもいるんだが…
 大抵の場合、どっからともなく湧いて出て、襲いかかってきやがる」

「専門的な言い方をすれば、『ランダムエンカウント』ね。
 戦闘が起こる場所は決まっていて、そこを歩いてると、物の怪と遭遇するの」

「戦闘開始ーってことですね」

「戦闘は、各自が何をするかを最初に決めるタイプね。
 素早い人から実行していくのよ」

「いわゆる、『ターン制』ってやつだよな。
 素早さの話が出たところで…ミル。
 ゲームでの、俺たちの強さを決めている数値の種類を言ってみろ」



「ええっと…。
 『攻撃力』と『防御力』に…『素早さ』。
 あとは、『HP』と『MP』ですね」

「残念、不合格だ」

「えー!?」

「能力値には直接関係してこないけれど、『レベル』と『経験値』が抜けてるわ」

「う…。
 まあ、確かに能力値を決めてるといえば、決めてるのかも…」

「話に上がったところで、そこから話を進めてくとするか。
 戦闘に勝つと『経験値』って値が貯まっていく」

「他の能力値は、アイテムを身に付けることで上げられるけど…。
 経験値を貯める方法は、基本的に『戦闘で勝つ』ことしかないのよ」

「その経験値が、決められた数値まで上がることで
 『レベル』が1つ上がって、それぞれの能力値が上がっていくわけだ」

「私がさっきあげた、攻撃力とか防御力とか、そういうやつですよね」

「そうね。
 レベルを上げていくことで強くなって、戦闘も楽になっていくから
 ロールプレイングゲームでは、基本中の基本の要素って言えるかもしれないわ」

「その基本中の基本がすっかり抜けてたやつがこの中にいる」

「………」

「本人が一番そのことを分かってると思うから、先生あえて名前は言わない。
 だけどもう一度、よく考えてみてください。…胸に、手を当ててね。
 誰かがあなたのために、泣いているんです。きっとどこかで、泣いているんです」



「(…なるほど。確かにそれなりの扱いだわ、こりゃ)」



「話を変えて。
 それじゃあミルに、挽回のチャンスね。
 さっきミルがあげた能力値の説明を、ざっとしてみて」



「了解です。
 …まずは『攻撃力』。これはそのまま、攻撃をするときの強さですね。
 おもに、武器を身につけることで上げられます」



「オッケーよ。
 攻撃手段には、さまざまなものがあるけど…。
 通常の攻撃力を決めているのが、この値ね」



「次は、『防御力』。これも分かりやすいですね。
 相手からの攻撃をどれだけ軽減できるかを、あらわしてます。
 防具と腕輪、グローブなんかを身につければ上げられます」



「ん、そんなとこだ。
 単純に、これさえ高けりゃやられない…ってわけでも、ねえけどな。
 高けりゃ高いで、安定しやすい数値だ」

「へへ…私はこの数値には、ちょっと自信があります」

「確かに、多少の攻撃ではびくともしないわよね。
 …アーストの軽口にも、それくらい平然としてられれば、もっといいんだけど」

「うぐ…」

「余計なこた、言わないほうがいいってことだわな」

「…よく言うよ、ほんとに」

「ま、脱線はほどほどにしとこうぜ。次は『素早さ』だぞ、ミル」



「はぁい…。『素早さ』ですね。
 これはさっきナナさんも言ってたけど、戦闘での行動の早さに関係してますね。
 性能のいい靴を履けば、そのぶん素早くなります」



「はい、オッケー。
 戦闘はターン制だから、どれだけ素早くても行動回数は同じなんだけど…。
 やっぱり、相手より早く動けるっていうのは有利になるわね」

「ちなみに、この数値にかけては俺もちょっとしたもんだぜ」

「幾つになっても落ち着きがないから、納得よね〜」

「余計なこたー、言わないほうがいいってわけですよね!」

「…へいへい。今回ばかりは、大人しくしといてやら」



「それじゃ、次は『HP』。いわゆる、生命力です。
 増減の条件はいろいろあるけど、おもに敵の攻撃を受けると減っていって…。
 ゼロになると、死んだような雰囲気になっちゃいますね」



「なにしろ死んだような雰囲気だからな。もちろん、戦闘でも動けない」

「全員がそうなると、全滅。任務失敗で、ゲームオーバーになっちゃいます。
 そういうことからも、戦闘中は一番注意が必要な数値って言えるかもですね」

「一応、ゼロになったとしても回復させる手段はあるんだけど…」

「その手段も、普通に回復させるよりは、限られてるからな。
 ま、ゼロにならないように立ち回るのが基本だ」



「最後は『MP』ですね。
 特殊な行動に必要な数値で、それを使うたびに決められたぶんだけ減っていきます。
 現在値がそのぶんに足りないと、使えないってことになりますね」



「うん。そんな感じね。
 こちらはゼロになっても、動けなくなるなんてことはないけど
 戦闘中の行動が、かなり制限されることになるわ」

「特殊な行動主体で、戦闘することになる人もいますからね。
 私なんかだと、これを消費しなくても…」

「そこで待て、ミル。そのあたりの説明は、次回に回そうぜ」

「ありゃ?」

「そろそろ時間がやばいだろ。内容的にも、ひと段落ついたしな」

「む…そうですね」



「何度も言うのも、しつこいけど。
 途中の、2人の大暴れが時間的にも痛かったわね〜」



「おおあばれ…」

「反省してるって…。
 後半は、俺もミルもすげえ真面目にやってただろ」



「最初っから、そうしてくれてれば、余裕はあったって、そういう話なんだけどねえ〜。
 …終わったことだし、今回は大目に見るけど。
 次はないからね」



「すみませんでした…」

「すみませんでした…」

「よろしい。それじゃ、ちゃんと挨拶しなきゃね」



「はい。
 今回は戦闘にかかわる要素を説明しましたが…
 次回、戦闘編Aではいよいよ、戦闘そのものについて解説に入っていきます」

「細かい戦闘のルールなんかは、次でやることになるな」

「アイテム関連の話についても、まだ補足がいると思うわ」

「次回も、頑張るということで。
 それじゃあ、今日はこのへんで解散しましょうか」

「そうね。それじゃあ、お疲れ様でした〜」

「おつかれさん」

「おつかれさまでしたー」





(暗転)










(解散後の小屋の中)


(アーストとミルが、椅子に座って小声で話している)


(ナナの姿はない)





「っていうかですね、さっきはああ言ったんですけど」

「…何だよ」

「タットのことですけどね…なんとかならないんですか?」

「お前はまだいいだろが。…俺なんか、顔見た時点で泣かれんだぞ」

「そりゃ、アーストさんは、自業自得じゃないですか。
 こっちはいい迷惑ですよ。
 それにナナさんも」

「………」

「タットをちらつかせてる時点で、大暴れしてるのと変わらない気がするんですが…」





(アースト、血相を変えて素早く壁に耳を押し当てる)


(しばらくして、安堵の表情)





「…??
 どうかしたんですか?」

「…ミル」

「なんですか」

「…なるべく、さっきみたいのは、やめとけ」

「は?」

「今は大丈夫だけどな。ナナは風の精なんだぞ。
 小声だろうがなんだろうが、聴こえるときは聴こえる」

「………」

「陰口なんか叩いて、聞かれてみろ。
 次こそあいつを呼ばれて死ぬ。俺もお前も、みんな死ぬ」

「う…」

「そのあたりも含めて、タットの話はもう俺にするな。尻尾がまっすぐ伸びやしねえ」





(ミル、うなだれる。大きな溜息)





「なんでこんな目にあわなきゃいけないのかなあ、私ばっかり」

「あほう、ちゃんと聞いとけ!…お前の巻き添えで死ぬのは、ご免だ!」

「あんたが言えた義理ですか!!」





(続きます)